現代の闇は「テロリスタン」にあり―韓国人拉致の裏に潜むもの

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tero_stan_map2007-07-28.gif  ロシア語で"остановка "、アスタノーフカとは「ものの止まる所」。これを語源として「・・・スタン」とは、遊牧民が止まった所、遊牧民が定住した所を意味するようになったらしい。遊牧民がパキに定住してパキスタン、アフガに定住してアフガニスタン、ウズベクに定住してウズベキスタンといった具合。

 今、この「・・・スタン」は、世界最大のテロネットワークの温床となっている。「・・・スタン」の国境線なるものは、帝政ロシアや大英帝国インド総督府、清帝国が便宜的に引いたもので、「・・・スタン」に住む者にとっては意味を持たない。国境管理など有名無実。ソ連邦とそれを継いだロシア連邦も、この国境線を引き継いだが、依然として「・・・スタン」に住む人間にとっては意味がなかった。

 遊牧民は、強盗、追いはぎ、略奪が生活の糧である。アフリカ大陸でも同じだ。スーダン西部ダルフールのアラブ系民兵ジャンジャウィードの無法の限りは、彼らからすれば「土地にしがみつく者の偏見」でしかない。「・・・スタン」では、イスラムも変質する。唯一神アラーのみを信じ、預言者ムハンマドすら「偶像崇拝」として否定する。もはやカルトだ。

 このテロネットワークの巣窟に潜伏しているのが国際テロ組織アルカイダのビンラディンと副官ザワヒリ。米政府が過去、ビンラディン拘束は時間の問題と繰り返したことをあざ笑うがごとく、2人の行方はようとして知れない。パキスタンのムシャラフ大統領が2004年来推進する「パキスタンコネクション」壊滅作戦で、、100人近いアルカイダ構成員が逮捕され、その残した証拠・自供から、ビンラディンの点と線がつながったにもかかわらず、依然として逃げおおせている。。

 新彊ウイグル自治区を含めれば中国からインド亜大陸、中央アジア、南西アジア、中東、欧州、アフリカ大陸、そして北米大陸と延びる史上最大のテロネットワークの要が、この「・・・スタン」であるといえる。まさに「テロの定住するテロスタン」だ。

 そして、この線上で7月19日アフガンのガズニ地区で発生した韓国人23人の拉致事件。アフガンの旧支配勢力タリバンは、このうち1人を射殺するとともに、残る人質については、アフガン政府に拘束されているタリバン要員の釈放を要求して、28日現在も交渉が続いている。アフガンで発生した外国人拉致としては、過去最大の規模である。

 英民間テレビ「チャンネル4」は7月25日、アフガンの旧支配勢力タリバンの南部地区司令官マンスール・ダドゥーラとの独占インタビューを放映、ダドゥーラ司令官はこの中で、「可能な限りの西側外国人を誘拐し、解放の条件として収監されているタリバン戦闘員の釈放を要求する」と警告。タリバン側の戦術が、収監されている仲間の釈放であることが鮮明となった。

 ダドゥーラ司令官は、この5月にアフガン駐留多国籍軍に殺害されたムラー・ダドゥーラ将軍の弟。兄が殺されたあと、そのポストを引き継いだ。インタビューは、アフガン・パキスタン国境地帯の隠れ家で撮影されたという。ダドゥーラ司令官は、タリバンに拘束されたままとなっている韓国人人質に関し、人質1人を殺害したあとも、残りの人質は今後数時間内に殺すと主張するなど、仲間の釈放に向けてしきりと揺さぶりを掛けている。

 ダドゥーラ司令官は米ABCテレビの「チャールズ・ギブソンの世界ニュース」(World News With Charles Gibson)とのインタビューにも応じは「(ロンドン爆弾テロ未遂事件、グラスゴー空港襲撃事件は)十分なものではない。もっと大掛かりな攻撃が間もなく行われよう」として、「夏期テロ月間」が間もなく始まることを警告。このおよそ1週間後に今回の韓国人拉致事件が発生した。

 ダドゥーラ司令官は、ABCテレビとのインタビューで「神の思し召しにより、さらなる攻撃を目にすることができよう」としている。このビデオ映像は、ダドゥラとパキスタンのジャーナリストたちが行った会見の模様を撮ったものといわれる。同司令官によると、タリバンはパキスタンに多数の「友人」を抱えており、アフガンとパキスタンを行き来することは非常に簡単だという。

 この点に関し、米中央情報局(CIA)は7月11日、「西側に対する攻撃態勢を強化するアルカイダ」(Al-Qaeda Better Positioned to Strike the West)と題した報告書を公表、アルカイダがパキスタンとイラクで勢力を増大させ、世界的に過激主義の土壌が育ちつつあるとの見方を示している。

 同報告書は、「ビンラディンは、アフガンとパキスタンの国境近く、両国政府の力が及ばない場所に身を隠している。一方で、互いに緩やかな連携関係しか持たないテログループが各地で多数出現している」と指摘、「ビンラディンのテロネットワークは、パキスタン北西部の部族居住地に広がり、そこでテロリスト養成とテロ攻撃計画を行っているとみられる」と結論付けている。

 アフガンのカルザイ大統領はこの3月、イタリア人記者が誘拐された際、タリバンの要求を受け入れ、タリバン構成員5人を釈放した。しかし、米英の強い非難を浴び「もう釈放を取引条件にしない」と公言している。28日に予定されている韓国大統領特使、白鐘天氏との会談で、カルザイ大統領がどういう判断を下すのか、今のところ不透明だ。

 日本政府はこの韓国人拉致事件を受けて、アフガン全土からの「退避勧告」を25日付で出し、残留する場合でも十分な安全対策を取るよう注意喚起。外務省によると、アフガンでは、首都カブールを拠点に、国際協力機構(JICA)やNGO(非政府組織)の約10団体が活動中で、民間の技術者約10人も道路や空港建設に従事。過去出されていた「渡航延期」に代えて、最もレベルが高い「退避勧告」がアフガン全土を対象に出されるのは初めて。

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このページは、J_Ishikawaが2007年7月28日 21:13に書いたブログ記事です。

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