【米大統領選】ヤンキーの心の拠り所、大統領制という国家・政治制度

| | コメント(0)
このエントリーをはてなブックマークに追加 Save This Page to del.icio.us このエントリーをlivedoorクリップに追加 このエントリーをニフティクリップに追加 このエントリーをBuzzurlに追加 このエントリーをFC2ブックマークへ追加 このエントリーをnewsingへ追加 このエントリーをYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをイザ!ブックマークに追加

 米国務省は21日、大統領選の民主党有力候補、バラク・オバマ上院議員(46)の旅券情報が盗み見されていた問題で、同党のヒラリー・クリントン上院議員(60)、共和党のジョン・マケイン上院議員(71)の両候補の旅券情報も同省職員によって不正に閲覧されていたと発表した。ライス国務長官は同日、3氏に電話で謝罪した。同省は今後、司法省と協力して全容解明を進める。

 現在進行中の11月4日の本選に至る米大統領選候補指名争いは、民主党ではオバマ、クリントン両候補が泥仕合を続ける一方で、共和党ではマケイン候補の指名獲得が確定、マケイン候補は、共和党保守本流、ネオコン(新保守主主義)をはじめ、米国の保守の流れをマケイン支持、本選での勝利につなげようと必死だ。マケイン候補は果たして、ロナルド・レーガン以降の保守の流れに乗ることができるかどうか。。。

 米国は自然発生的な「国民国家」ではない。先住民(ネイティブ・アメリカン)と奴隷として連れてこられたアフリカ系米国人以外は、移民としてやってきた人々によって構成される「多民族国家」である。彼らを結び付けている理念は、独立宣言や建国の祖が記した諸文書、憲法に起因し、今も不断に改訂が進められている。それらに盛られた信条、価値、儀礼、儀式が、米国民が受け入れるべき基本的象徴として機能する。米国という政治的共同体を統合し、その集団的生活にある種の意味付けを行っている。米国精神=米国市民宗教とは、まさにこれら信条、価値、儀礼、儀式の総体を指しているといってよいだろう。

米国精神=米国市民宗教を信ずる者は、カトリック教徒、ユダヤ教徒やプロテスタントであり、モルモン教徒やイスラム教徒でもあり得る。アジア系米国人なら仏教徒でもあり得るのである。もちろん無神論者でもよい。米国精神=米国市民宗教は、その信者がある特定宗教を信ずることを受け入れる。

 ともかくも彼らは、大統領を核とする米国という国家・政治制度そのものを、米国人としてのアイデンティティの拠り所としている。

したがって、米国の国家・政治制度自体が心の拠り所とされている以上、国家がある種の宗教性を帯びてくるのは必然。歴代大統領が就任式で、神の加護を願い、米国民の来し方、行く末に説教するがごとく言及するのも、米国精神=米国市民宗教の最高神官としての役割を熟知しているからである。具体的な政策は、議会に直接提示すれば事足りる。

 米国精神=米国市民宗教は、卑近な言葉で表せば、米国社会が米国社会たるべき倫理・行動指針だ。独立戦争以来、米国人に、自分たちが「神に選ばれた国」に生き、そして死んでいくことを自覚させる上で、大きな判断基準を提供してきた。

 だが、そこには、当然ながら負の面も存在する。米国精神=米国市民宗教の「最高神官」たる大統領およびその取り巻き連中によって、内政・外交運営上の道具と化する危険性がそれだ。米国精神=米国市民宗教の宗教的表現を借りて、米国が人間の普遍的価値と考える「自由」「平和と民主主義」、米国がそうだとみなす「正義」を世界にあまねく波及させることが「人類共通の正義」であり、国益にかなうことでもあるという思考を補強するからである。

 歴史的な経緯を見れば、米国先住民や奴隷として連れてこられたアフリカ系黒人は、米国精神=米国市民宗教の恩恵から組織的に排除されてきたし、太平洋戦争では日系米国人が排除された。

 しかし、さすが米国と言うべきか。宗教的な観点からの「贖罪」は機能しており、いったん非を認めて謝罪したら、必ず罪をつぐなうという行為を米国人は躊躇することなく続けてきた。米国先住民の権利回復、故キング牧師らが進めた公民権運動によるアフリカ系黒人の飛躍的な社会的・政治的地位向上、日系米国人強制収容に対する謝罪と補償などがそれである。

 1993年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のロバート・フォーゲル教授によると、現在の米国は、独立以前から数えて第4の宗教的な覚醒期に当たるという。ベトナム戦争の泥沼化とともに始まった過度の個人主義、フェミニズムなどに対する反動として1970年代から顕著となり始め、伝統的な価値観や家族を重視する。換言すれば米国精神=米国市民宗教の再活性化と軌を一にする。

 共和党のロナルド・レーガン大統領候補が「強い米国」の再生と「保守革命」を唱え、1980年の大統領選挙に勝利した背景には、共和党の世俗的な保守派と宗教的右派が結び付きを強め、さらにテレビ伝道とコンピューターを駆使した新宗教右翼の台頭が最大要因として挙げられる。

コメントする

このブログ記事について

このページは、J_Ishikawaが2008年3月23日 07:21に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「Windows Vista Service Pack 1 (5 言語用スタンドアロン版) をインストール」です。

次のブログ記事は「イラク戦争の米軍戦死者、ついに4000人に達す」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.23-ja
国際ニュース::Ishikawa-News.com