【米大統領選】史上最強国家の核のボタンを握る米大統領

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 今年11月の米大統領選本選までに民主党のオバマ候補が生き残るのか、はたまたクリントン候補が不屈の起死回生策で大統領候補指名を勝ち取るのか依然として不確定要素が多い。不撓不屈の精神といえば、共和党の気骨の政治家マケイン候補も忘れてはなるまい。民主党が大統領候補一本化に失敗し、指名争いが長期化すれば長期化するほど、本選でのマケイン勝利の確率は高くなるからだ、

 が、これだけは言える、次の米大統領に誰がなるにせよ、われわれは史上最強国家の核のボタンを、彼もしくは彼女1人にゆだねなければならないとう事実である。イラクからの駐留米軍が早期撤退するにせよ、駐留継続が当面続くにせよ、上記の点にはいささかの変化もない。

 「正義のために立ち上がる」「1人でも立ち向かう」と声高に叫んだとしても、それに伴う国力がなければ犬の遠吠えにしかならない。が、この自信を支える拠り所が、今の米国にはある。比類なき軍事力がそれだ。

 2001年の米同時多発テロ以降、米軍は中央アジアなど7カ国で、13カ所も海外基地を増やした。米軍に依存しない限り、国内の過激派グループに対抗でき得ない現地政権を説得してである。

 現在、米国は世界70カ国に基地を確保し、平時でも25万人の米軍を駐留させている。いずれも、「対テロ戦争」を遂行していく上で、必須といえるものだが、ブッシュ大統領はそれを財政的に可能にするため、2004年会計年度の国防予算として、3799億ドル(約45兆5880億円)を議会に要求。これは2003年会計年度より153億ドル増で、連邦予算全体に占める割合は16.6%に達した。

 米防衛情報センターの最新統計によると、米国は軍事力の優位性を保つため、1時間当たり約52億円を注ぎ込み、1世帯当たりの年間軍事費負担は45万円に上るとされる。軍事費は世界の軍事支出上位2―11位(ロシア、中国、日本、英国、フランス、ドイツ、サウジ、イタリア、インド、韓国)までの総計を上回り、世界の総軍事費の約3分の1を米国が独占する。

 現在、米国の軍事費は米国内総生産(GDP)の3%をわずかに上回る程度。これを4%に引き上げて年間の国防予算を5000億ドル以上にしても、過去半世紀のほとんどの期間よりも、GDPに対する比率は低くなるとされる。すなわち、米国は経済的に見て、長期にわたって軍事費の漸増に耐えられるということであり、結果的に、米国の圧倒的優位は相当長期にわたって揺るがないということである。

 米国の権益、要するに米国精神=米国市民宗教が指し示す価値観を維持、拡大するため米国人1世帯が約45万円の軍事費負担を甘受して、不退転の決意で臨んでいると言えなくもない。

 そして、この圧倒的な軍事力は、湾岸戦争、アフガン報復空爆、イラク戦争を経る中で、Revolution in Military Affairs、要するに「軍事情報革命」(RMA)を開花させ、その革新的軍事技術を、米国をして独占せしめるに至ったのである。情報とIT(情報技術)ネットワークを活用する効率の良い戦争を指すRMAは、とりわけイラク戦争において、陸海空軍の枠を超えた統合的な部隊運用を可能にした。

 イラク戦争では、少なくとも米軍においては、陸海空軍の通信システムが統一され、ある軍事目標を攻撃するのに空軍機が適しているのなら空軍機が投入され、陸軍の攻撃ヘリコプターが適しているのなら、陸軍攻撃ヘリが用いられた。米陸軍の地上部隊を、海兵隊攻撃ヘリが近接支援するという局面もあった。

 このような軍事力の運用は、陸海空軍、そして海兵隊の部隊が情報ネットワークで結ばれて情報を共有し、一元的な指揮ができるシステムがあって初めて可能となる。サウジのプリンス・スルタン空軍基地、カタールのウデイド空銀基地に置かれた合同航空作戦センター(CAOC)に中東全域の米英豪合同軍の情報を集中させ、無人偵察機の得た情報をリアルタイムに入手しつつ、適材適所で陸海空、海兵隊の各軍事力を投入した。

 米国防総省がこん身の力を入れて造り上げ、運用している衛星航法システム(GPS)は、イラク戦争で特に名を馳せた衛星誘導爆弾の基幹システムである。衛星誘導爆弾は、RMAの華とも言われ、衛星誘導爆弾1トンで破壊できる目標をベトナム戦争時代のテレビ誘導型爆弾で破壊しようとすれば190トン必要であり、第2次大戦時の照準器による誘導爆弾では9000トンが必要だとされる。

 いずれにしても、「正義のために立ち上がる」「1人でも立ち向かう」と呼号する米国の自信は、記述のような質、量ともに比類なき米国の軍事力によって裏打ちされている。冷戦終結、ソ連崩壊により、「ソ連の軍事力」という抑止作用がなくなったことから、米国の相対的かつ総体的な軍事力は過去に例を見ないほど高まり、米国は事実上、いつでもどこにでも、自由に軍事介入できる意思、能力を持つ唯一の国家となった。

 将兵の人的損失を可能な限り少なくし、かつ最大の軍事効果を上げることを主要目的としたRMAに米国が成功を収めつつあることも、これに一役買っている。

 実際のところ、ブッシュ・シニア政権は1989年にパナマに介入し、1991年に湾岸戦争を戦い、92年にはソマリア内戦に介入。クリントン前政権はハイチ、ボスニア、コソボに軍事介入。ブッシュ・ジュニア現政権に至って「対テロ戦争遂行」の観点からアフガン報復空爆を決行してタリバン政権を壊滅させ、イラク戦争でフセイン政権を打倒した。冷戦期と比較して海外に介入する頻度は、高くなっているのである。

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このページは、J_Ishikawaが2008年4月15日 14:22に書いたブログ記事です。

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