アフマディネジャド大統領再選とミサイル発射―どこへ行くイラン

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 時は大英帝国を頂点とする欧州列強の植民地主義が全世界を跋扈した時代。英国人ウィリアム・ダーシーは1901年、まさに20世紀が始まった年に、ペルシャ(現イラン)の皇帝から石油採掘の利権を獲得。ダーシーは7年余の試掘を重ね、1908年、ついにイラン南部で油田を発見する。石油利権とその石油利権を巡る各国の抗争のタネが、ここにまかれたのだ。

 このとき、ダーシーはアングロ・ペルシャン石油という採掘・供給会社を設立した。これが、現在の石油メジャー、ブリティッシュ・ペトロリアム(イギリス石油、BP)のそもそもの始まりだ。英国は1914年、第1次大戦で使用する燃料確保のため、400万ポンドもの大金を出してアングロ・ペルシャン石油株式の50%以上を獲得、半官営化。この状態は1970年代に完全民営化されてBPとなるまで続いた。

 ちなみに、日本タンカー史をひもとくと、1921年(大正10年)に建造された日本初の本格的な民間外航油槽船、「橘丸」が、当時の満州・大連で大豆油を満載してロンドンに赴き、帰路にイラン・アバダンでこのアングロ・ペルシャン石油から8000トンの石油を購入、帰国している。アバダンは、イラン南西部のペルシャ湾に注ぐシャトルアラブ川の東岸に臨む河港都市。イラン革命の火の手は、1978年に最初にここで上がった。のちにイラン・イラク戦争に巻き込まれる。

 第1次世界大戦で大英帝国の対枢軸国戦を支え、第2次世界大戦でも英国をはじめとする連合国側の対ナチスドイツ戦を支える大きな要素となった中東石油は、そのまま石油利権抗争史として世界史上に刻まれる。BP、モービル、エクソン、ロイヤルダッチシェル、テキサコ、ガルフ、ソカールのセブンシスターズ(国際石油資本)の手に落ちた中東石油だが、1973年の第4次中東戦争でそのタガが緩み始める。そして1979年のイラン・イスラム革命。前年にアバダンで上がった火の手が、盤石を誇ったパーレビ王政を倒したのだ。

 それからちょうど30年。この12日投票の行われたイラン大統領選は、即日開票作業に入り、同国内務省は13日朝(日本時間同日午後)、開票率約90%の段階で、保守強硬派の現職、アフマディネジャド大統領(52)が66%を得票し、改革派のムサビ元首相(67)は33%と発表。イラン国営通信(IRNA)は、同大統領が決選投票を待たずに再選を決めたと報道、大統領陣営も勝利宣言。

 アフマディネジャド大統領は、ホロコースト(ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺)否定など対外強硬発言を繰り返し、国連の経済制裁を招いた核開発問題でも交渉を拒否、イランの国際的孤立を深めた張本人。オバマ米大統領は、大統領選時代から核拡散防止条約(NPT)の枠内でのイランの平和的核開発は否定しないとし、イラン核問題の交渉による解決に意欲的だが、はたしてこれが今後どう動いていくのか。

 IRNAは5月20日、アフマディネジャド大統領の発言として、イランが同日、射程距離約2000キロの新型の地対地ミサイルを発射実験に成功したと報道。同大統領は「先端技術を持つ『Sejil 2』ミサイルを本日発射した。ミサイルは正確に目標に着弾した」と述べた。IRNAによるとミサイルは東部のセムナン州から発射された。アフマディネジャド大統領は同州を訪れていた。イランの別の長距離ミサイル「シャハーブ3」も同程度の射程距離を持ち、イスラエルをはじめ、湾岸諸国内の米軍基地が射程圏内に入る。

 イスラエルのネタニヤフ極右政権は、イラン核をパレスチナ問題を上回るイスラエル最大の脅威として位置付けているが、保守強硬派のアフマディネジャド大統領再選や、ミサイル発射実験の報道などを勘案すると、あながち全否定はできない。

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このページは、J_Ishikawaが2009年6月15日 17:04に書いたブログ記事です。

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