有料メルマガ・深層海流
激動を続ける中東を中心に30年間にわたって国際情勢を追ってきた石川純一が、変化を続ける世界の動きの深層に流れる潮流を読み解きます。深層海流とも称されるべき過去、現在、未来への流れを正攻法で吟味することこそ、危険極まりない現在を生き抜く技を与えてくれると確信しています。あなたはただ流されるままですか? ただ溺れるままですか?
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◆ブッシュ「単一最高意思決定機関」の構図(5)◆(85)
=経験に裏打ちされた信念・ウルフォウィッツ流思考回路=
─欺瞞的な勢力均衡・安定を唾棄─
2005/03/12
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【目次】
◆取り沙汰されるウルフォウィッツの去就
◆安定という欺瞞を鋭く批判
◆現状維持ではブッシュの要請に答え得ず
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◆取り沙汰されるウルフォウィッツの去就
米紙ニューヨーク・タイムズは3月1日、ブッシュ政権関係者の話として、
世界銀行の次期総裁の有力候補に米コンピューター大手ヒューレット・パッカ
ード(HP)を先月辞任したばかりのカーリー・フィオリーナ前会長兼最高経
営責任者(CEO)が浮上していると伝えた。他方、英紙フィナンシャル・タ
イムズの米国版は同日、ウルフォウィッツ国防副長官が最有力候補と一面トッ
プで報道。ラムズフェルド国防長官が当面留任するため、ウルフォウィッツ副
長官もここ当分は政権にとどまる意向だが、ラムズフェルド長官が政権を去る
ような事態になれば、ウルフォウィッツ副長官の去就も、これまで以上にささ
やかれることになろう。
2001年9月11日、国際テロ組織アルカイダのテロリストたちが、民間
航空機をハイジャックし、ラムズフェルド長官が米国の「強大な軍事力」の象
徴と称したペンタゴン(国防総省)の5角形の建物に突っ込む。その恐怖の瞬
間、時速560キロで飛ぶミサイルと化した旅客機は、大量の爆発性のジェッ
ト燃料とともに、ペンタゴンに激突し、その5つの同軸回廊のうち3つを貫き
、鉄筋コンクリート製のビルを粉々に砕いた。
今でも、このテロの激しさを思い出させる衝撃的なモニュメントが1つ残っ
ている。それは、損壊した部分の石灰岩ブロックの1つだ。焼け焦げてあばた
のように穴があき、ひびの入った姿で残されている。「2001年9月11日
」とだけ刻まれたその石は、ハイジャック機が激突した場所の近くにはめ込ま
れ、ウルフォウィッツ副長官が建物の外装の修復完成を記念して2002年6
月11日に外壁に埋め込んだカプセルを覆っている。ウルフォウィッツ副長官
の「経験に裏打ちされた信念」を象徴するエピソードだ。
◆安定という欺瞞を鋭く批判
ウルフォウィッツにとって、大学院を卒業し社会に出て以降の人生の中で、
転機となったのは東アジア・太平洋地域担当国務次官補として、フィリピンや
韓国の民主的変革を見届けたときだったといわれる。これがウルフォウィッツ
の思考回路の中における政治的原体験となった。東アジアを民主化が不可能な
地域として例外視するべきでないという信念が、ここで確固としたものとなっ
たからだ。
2004年10月、ウルフォウィッツはかつて親族が送り込まれて大半が殺
されたポーランドのユダヤ人強制収容所跡を訪れ、父親の故郷ワルシャワで講
演を行った。この講演でウルフォウィッツは、冷戦時代のソ連支配下の東欧の
安定を「墓場の安定」と規定、欺瞞的な勢力均衡を世界は二度と許してはなら
ないとの持論をぶった。「勇気と自由」というのがこの講演の演題だった。安
定を自己目的化することへの激しい怒りと批判がその根底にある。
------------------以下、本誌へ続く------------------------------------

